大阪府北部地震

2018年6月18日大阪府北部地震

最大震度6

震源地 大阪府北部

静穏状態から発生した「大阪府北部地震」

阪神・淡路大震災から13年が経過した2018年。大阪府において震度6弱を記録した「大阪府北部地震」が発生しました。多数の負傷者が出ただけでなく、関西地方の交通機関がマヒし、多くの帰宅困難者が生まれるなど、二次的な被害も起きた本地震について、JESEAが科学的に分析した結果をここに報告します。

大きな地震の直前は、全国的に地表が静穏状態になる傾向があります。今回の「大阪北部地震」の前も、やはり“静穏状態”にありました。JESEAでは、2018年6月6日配信号のMEGA地震予測において「全国的に週間(直近1週間における)高さ変動および水平変動は静穏です。ただし大きな地震の前には、静穏になることがありますのでご注意ください」と警告していました。
ですが、大阪府北部を特定するには至りませんでした。今回、今後の地震予測の精度向上のため、後追い検証を実証し、科学的根拠を明らかにしました。

地震の概要

発生時刻:2018年6月18日 7時58分
震源:大阪府北部(深さは10㎞、緯度34度50分36秒、東経135度37分18秒)
震度:大阪府大阪市大阪北区、高槻市、枚方市、茨木市、箕面市で震度6弱を観測。マグニチュード6.1
被害:死者5人、負傷者435人(この震災によって、倒れたブロック塀の下敷きになり、小学生の児童が死亡したことは、大きな社会的問題となった)

MEGA 地震予測による見解

1. 地震発生の1年前に見られた兆候

1. 地震発生の1年前に見られた兆候
異常変動が発生したエリア。大阪府北部周辺で一斉に発生していることがわかる(計測期間:2017年7月2日~7月8日)
地震発生から遡ること1年1ヶ月前。2017年7月2日から8日の地表を確認すると、高さ4センチ超の異常変動が大阪府北部周辺で一斉に発生していたことがわかりました。

2. 地震発生20日前に起きていた異常変動

2. 地震発生20日前に起きていた異常変動
大阪府の「箕面」、京都府の「京都加茂」および兵庫県の「宝塚」において、地震発生約20日前に4センチ超の週間高さ変動が見られた
地震の約20日前。2018年5月27日から6月2日の週には、大阪府の「箕面」、京都府の「京都加茂」および兵庫県の「宝塚」の地表において、高さ4センチ超の変動が起きていました。
本来であれば、その変動を察知し、MEGA地震予測を通じて発信するところですが、JESEAが活用している「国土地理院の電子基準点データ」は、約2週間後の月曜日に発表されるため、この情報を知り得たのが地震発生当日になってしまいました。
そのため、地震の前兆である異常変動について、残念ながら地震発生前にお伝えすることは叶いませんでした。しかしながら今回、後追い検証を実施したことで、“地震の前兆”と考えられる「週間高さ変動」に、はっきりと異常値が出ていたことを突き止めることができました。

3. 「AI地震予測」は地震直前の大阪府を危険度4と判定

JESEAはより精度の高い予測の実現を目指し、3年ほど前から新しい地震予測技術にも挑戦しています。それがJESEA独自の人工知能(AI)を用いた「AI地震予測」です。
「AI地震予測」は、品質工学の分野で使われている“正常/異常の判断に優れた”MT法(マハラノビス・タグチ法)※を地震予測に応用することで、“地表の異常”を検知するものです。
大阪府北部地震が発生する直前、「AI地震予測」による危険度マップは以下のようになっていました。

3. 「AI地震予測」は地震直前の大阪府を危険度4と判定
「大阪府北部地震」直前の、AI地震予測が導き出した危険度マップ/2018年6月16日までのデータから、日本全国を30地区に分割し、各地域の危険度を示している
危険度は0~5の6段階で表示。数字が大きいほど危険度が高いことを示しています。地震発生の直前、大阪府周辺の危険度は“4”となっています。
この事実から、AIで過去のデータと直近のデータを解析することで、「大阪府が高い危険度にあったこと」が科学的に証明されたと言えます。

※MT法:品質工学の提唱者である田口玄一博士が開発した数理。マハラノビス距離(MD)を用い、対象が正常か異常かを判定する人工知能(AI)を使った手法のひとつ。

村井教授のコメント

「MEGA地震予測」は、“災害に備えるアプリ”です。もし「国土地理院の電子基準点データ」が地震発生前に入手できていたならば、「AI地震予測」の結果と照らし合わせ、JESEAは事前に、その危険を広く発信することができたかもしれません。そうすれば、被害をより小さく抑えることもできたかもしれません。

今回の経験を胸に深く刻み、JESEAはより正確な地震予測の実現のために、さらに研究を進め、精度向上を目指し、邁進していきます。