北海道・青森県はこの先、どのように動くか――村井俊治 東京大学名誉教授が語る地震予測

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2020.02.07

日本は、8つのミニプレートに分けられます。 そして、地震は「断層」、つまり「線」が動くことで起こるのではなく、或る「塊」、つまり「ミニプレート」が動くことでその境界部にひずみが溜まり発生するのではないか…という仮説を立てるに至りました。それが、JESEA地震科学探査機構が提唱する「ミニプレート理論」です。今回は、ミニプレート理論で見る【北海道・青森県】の動向について、お伝えします。

ミニプレートで見る「北海道・青森県」

まず、北海道と青森県がどのようなミニプレートで構成されているか見てみましょう。

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北海道と青森県のミニプレート

8つのミニプレートのうち、北海道は①、②、③、④、⑤の5つのプレートで構成されています。なお、同じ番号のミニプレートは、隣接していなくても、同一プレートのため、同一方向に変動していることを表しています。

青森県は、⑤と⑥のミニプレートで構成されています。ミニプレート⑤は、北海道の道南と青森県の北部にまたがっていますから、このエリアで津軽海峡を挟んで同じ方向に変動します。

北海道・青森県エリアの状況について

次に、垂直方向(高さ)の変動を示す「北海道の隆起・沈降図(2018年11月25日12月1日)」を見てみましょう。

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北海道の隆起・沈降図(2018年11月25日12月1日)

まず目立つのは、根室・釧路地方が沈降している点です。この沈降が進行すれば、大地震が発生する可能性も考えられます。一方で、その北西方向にある「阿寒2」は大きく隆起しています。これは火山の雌阿寒岳(めあかんだけ)があることが起因しており、「根室4」と比較すると高さ変動の差は約13センチにもなっていますから、かなりひずみが溜まっているといえるでしょう。

北海道の西側に位置する「門別」は、2018年9月6日に発生した「北海道胆振(いぶり)東部地震」(M6.7、最大震度7)で大きく揺れた地域です。隆起・沈降図を見ると海岸に沿って沈降していることがわかります。一方で、襟裳岬にある「えりも1」は隆起しており、その高さ変動の差は約7センチあり、JESEA地震科学探査機構が経験則から“危険ライン”と考える6センチを超えています。加えて、えりも町に設置したプライベート電子観測点においても、たびたび「異常変動」と思われる現象が観測されています。

こうした事実から、十勝沖、浦河沖、青森県東方沖などを含むエリアは注意が必要であると、JESEA地震科学探査機構は考えています。

またこの海域は、ほぼ南北に走っている日本海溝が北東方向の千島海溝に向かって屈曲している海域のため、ひずみが溜まりやすい傾向にあり、過去にも1982年に浦河沖地震(M7.1、最大震度6)、2003年と2008年に発生した十勝沖地震(2003年M8.0、最大震度6弱/2008年M7.1、最大震度5弱)など、大きな地震がたびたび発生しているエリアですから、常に十分な注意が必要です。

村井俊治著書『地震予測は進化する! 「ミニプレート」理論と地殻変動』より抜粋

JESEA 名誉会長 東京大学名誉教授 村井俊治

JESEA 名誉会長
東京大学名誉教授

村井俊治